△三次駅発、府中行の普通列車
JR福塩線は、中国山地に囲まれた広島県三次市の塩町駅と岡山県の福山駅間の全長78kmを結ぶ路線です。
JR福塩線を走る列車は、広島県三好市の中心にある三次駅を発着し、しばらくJR芸備線を走ってから塩町駅よりJR塩福線の線路に入っていきます。
JR福塩線のうち福山駅〜府中駅間が開通したのが大正3年(1914年)。その区間は電化されています。
一方、それより北にあたる府中駅〜塩町駅間は昭和13年(1938年)に開通し、現在も非電化区間で気動車が運行されています。
三次駅を出発した二両編成の気動車は、しばらく芸備線を走っていきます。
緑と住宅のなかをアイドリング音を立てながら力強く走り、中国自動車道とクロス。汽笛を鳴らしながら走っていきます。
江の川の流れ、中国山地の緑のコントラストが車窓を美しく彩り神杉駅。
神杉駅を出ると、列車は石州瓦を構えた家々が連なる田んぼの間をカーブを描きながら走っていきます。
△JR福塩線の非電化区間にはのんびりした田園が広がる
塩町駅から、列車はJR塩福線へ入り南東方向に山のなかへ分け入っていきます。緑のなかには、とうもろ
こしやシソの畑も点在。
三良坂駅を過ぎると渓流の流れとのんびりした田んぼの景観が美しい穏やかな風景がつづきました。高架をくぐり、緑のなかにちいさな集落が開けた吉舎駅。
吉舎駅を出るとJR福塩線の気動車は再び深い山に入り、杉木立を抜けていき備後安田駅。界隈には昔ながらの日本家屋が点在していました。
木々の隙間から、川や明るい田んぼが見え隠れして梶田駅に停車。
△JR塩福線の沿線には、歴史を感じさせる民家も観られる
栗の木が連なり、見晴らしのよい高台を走っていきかつて存在した上下町の玄関口である上下駅のホームにJR福塩線の気動車は滑り込みます。
旧上下町は、島根県の石見銀山と瀬戸内地方を結ぶ銀山街道の宿場町として発展した歴史があり、古いまちなみも残されています。
駅構内には、切り干し大根、つちのこまんじゅう、こんにゃくラーメンといった地域の特産物も販売中。
△JR塩福線の列車は中国山地のトンネルを次々とくぐっていく
上下駅を出るとJR福塩線の列車は山裾を走り、再び民家もまばらになっていきます。備後矢野駅駅を出ると国道432号線に沿って走り、備後三川駅。
全長6123mの八田原トンネルをくぐり、芦田川を渡って河佐駅へ向かいます。河佐駅からはトンネルをくぐりカーブを舞って中畑駅、下川辺駅と停車。
山を出て平地が広がりはじめ住宅地が増えてくると芦田川を渡って府中駅に到着します。
府中駅より南の福山方面は列車を乗換えすることになります。
というのは、府中駅〜福山駅間23.6kmは電化区間であるからです。この区間には105系電車が主に活躍しています。
△JR福塩線の府中〜福山は、105系電車が運行中
JR福塩線の府中駅は広島県府中市の中心地。沿線においては都会のムードが漂うまちです。
工具の生産などが盛んであることから中小企業の工場も多く見られます。