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△七尾駅〜穴水駅間を走る、のと鉄道の気動車

のと鉄道は、石川県能登半島の七尾駅と穴水駅を結ぶ全長33.1kmを走るローカル線。
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七尾湾の海景やのどかな里山を映しだす車窓風景が魅力的な路線で、沿線の駅には地元に伝わる文化や祭りなどにちなんだ相性がついているのも特徴です。
のと鉄道の起点は、能登半島の中ほどにある七尾駅(石川県七尾市)。七尾は畠山氏が室町時代に築いた七尾城と前田利家が居城した小丸山城の城下町です。

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△青色を基調にした、のと鉄道普通列車の車内

また、のと鉄道の終着駅、穴水駅の愛称は「まいもんの里駅」。

「まいもん」とは、能登弁で「美味しいもの」の意味です。

穴水の近海では、ボラやイサザをはじめ、さまざまな魚介類が水揚げされ、穴水町には、それら地元の魚を盛り込んだ「能登丼」を食べられる店も。

なお、2015年4月に、穴水駅の隣には「穴水町物産館四季彩々」がオープン。

地元の海産物・加工品のほか、農作物、能登の銘菓など「まいもん」の買い物を楽しむことができるようになりました。
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のと鉄道 DATA

のと鉄道の時刻表はこちら

(企画切符)「つこうてくだしフリーきっぷ

「のと鉄道の1日乗り放題きっぷ」に「近隣観光施設等の優待割引券」がついたオトク切符(大人1000円、子供500円)

※土日祝、年末年始のうち指定した1日限り有効



<のと鉄道の車窓概要と沿線の見どころ>

七尾駅を出ると、のと鉄道の普通列車(穴水行)は、軽やかなアイドリング音を立て住宅を抜けていきます。

程なくすると車窓には山林が過ぎたあと、田んぼを縫って和倉温泉駅に到着。

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△のんびりした田園風景ものと鉄道の車窓の魅力

和倉温泉駅は、北陸を代表する温泉地のひとつ和倉温泉の玄関口です。駅から車で5分ほどの距離には、和倉温泉の温泉街が広がり、和倉温泉 加賀屋をはじめ30棟余りの高級志向の温泉宿が料理やサービスを競い合っています。

和倉温泉の一角には、日帰り入浴施設の和倉温泉総湯もあり。

和倉温泉の泉質は食塩化土類弱食塩泉で、塩辛くて湯冷めしにくいのが特徴。神経痛、リウマチ、関節痛などに効き目があります。

和倉と全長1050mの白い橋(能登島大橋)で結ばれる島は「能登島」でこちらも人気の観光スポットです。

能登島には、世界のガラス作品を鑑賞できる「能登島ガラス美術館」やイルカショーも楽しめる「のとじま臨海公園水族館」ほかさまざまな見どころがあり。

能登島へは和倉温泉駅前より路線バスが運行中です。

和倉温泉駅を出ると、のと鉄道の普通列車は緩やかなカーブを舞い西へ進んで行きます。

右車窓には広大な田んぼとその向こうに七尾西湾の海景が広がりはじめます。

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△のと鉄道の沿線は、車窓に七尾湾を映し出す区間が多くあり

川尻川を渡ると田鶴浜駅に到着。田鶴浜駅の愛称は「たてぐのまち駅」です。田鶴浜付近のまちは建具の製造が盛んで、その歴史は300年を数えます。

田鶴浜駅から7分ほど歩いたところにある、田鶴浜野鳥公園は、バードウオッチングを楽しめる公園。

園内にあるビジターセンターには双眼鏡も設置されており、飛来するさまざまな野鳥を鑑賞することができます。

田鶴浜駅を後にすると、のと鉄道の列車は249号線と沿って延びるレールをガタゴト走り、北に方向を変えて農地を縫って行くと、右車窓には再び海が広がります。

七尾湾はカキの養殖をはじめとする栽培漁業が盛ん。カキの養殖棚が点在するのも能登ならではの光景です。

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△養殖棚が連なる海景も、能登ならではの景観

家々が増えてくると笠師保駅に到着。笠師保駅の愛称は「恋火駅」です。

恋火駅の「恋火」は、地元で毎年夏(7月最終土曜日)に開催される「塩津かがり火恋祭」にちなんでいます。

「塩津かがり火恋祭」は塩津地区にある氏神社で行われる祭りで、五穀豊穣などが祈願され、男の神様と女の神様が1年で1回逢うというロマンチックな物語が語り継がれています。

祭り当日は、2000個もの灯明が海上を照らし幻想的なムードに包まれます。

笠師保駅は2015年4月、そんな物語にあやかって駅舎にハート形のイルミネーションを施すなどあたたかみのある雰囲気にリニューアルしています。

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△恋人の聖地としての期待も高まる笠師保駅

笠師保駅を出ると、のと鉄道の列車は豊かな緑のなかをすすんで行きます。

のどかな田んぼを抜け、カーブを描くと次は杉木立のなかへ。田園風景が再び広がりはじめると能登中島駅に到着。

能登中島駅の愛称は「演劇ロマン駅」です。能登中島の界隈では演劇が盛ん。

駅から徒歩10分ほどの距離にある能登演劇堂では、無名塾がロングラン公演を行うほか、さまざまな演劇が開催されています。

なお、能登中島駅のホームの一角には青い郵便電車が留置されています。

この郵便車は昭和30〜40年代に製造され全国を郵便物を車内で仕分けしていた車両(オユ10)。全国に2両しかない貴重な郵便車です。

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△能登中島駅に留置されている郵便車(オユ10)

能登中島駅を出ると、のと鉄道の列車は高台にあがっていき、右車窓には広大な田畑と農村が織りなす絶景が展開。

しばらくその風景を堪能すると、列車は檜の木々が連なる山のなかに入り、少しずつ勾配を降りていきます。

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田んぼと海が車窓に広がり、古びた瓦屋根の民家が増えてくると西岸駅に到着。西岸駅の愛称は「小牧風の駅」です。

西岸駅の界隈は、眺望のよいスポットが点在しているエリア。たとえば、標高358mの別所岳にのぼれば、七尾湾や富来海岸のリアス式海岸を一望することができます。

なお、西岸駅は七尾湾の眺望や海の幸などでンン器の国民宿舎能登小牧台の最寄り駅でもあります。

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△木々の隙間からは、海と漁村の風景も展開

西岸駅を出ると、右車窓には七尾湾の海景が再び広がってきます。海の向こうには能登島の島影がうっすら浮かびます。

桜の木々が連なりはじめると能登鹿島駅に到着。

能登鹿島駅の愛称は「能登さくら駅」。春になるとホームには30本もの桜が一斉に咲き乱れ、桜のトンネルが形成されます。4月上旬には毎年、「さくら祭り」が開催。

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△桜のトンネルが形成される、のと鉄道の能登鹿島駅(能登さくら駅)

能登鹿島駅を出ると車窓には再び海が広がります。途中、能登ならではの古典的漁法であるボラ待ちやぐらの風景も。

岬に沿ってつづく集落が切れると、のと鉄道の列車は山へ入っていきます。

トンネルをくぐって出るとまたトンネル。視界が開け、民家が増えてくると終点の穴水駅に到着です。

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△七尾湾とボラ待ちやぐらのある風景