△JR飯田線の豊橋〜飯田を結ぶJR東海の特急列車「ワイドビュー伊那路号」
JR特急ワイドビュー伊那路号が走るJR飯田線は、険しい山岳地帯に幾多のトンネルを掘って1937年に全線が開通した路線。沿線には豊かな緑や天竜川の渓谷美があふれています。
JR特急ワイドビュー伊那路号の車両には、窓が大きくて眺望の良さがよいとされる373系特急型電車が使用されています。
主に3両編成で運行し、指定席車両1両と自由席車両2両を連結しています。
△JR特急ワイドビュー伊那路は窓が大きくJR飯田線の旅を楽しむには最適。指定席車両、自由席車両を連結
JR特急ワイドビュー伊那路号が発着するのは愛知県豊橋市にある豊橋駅JR飯田線ホーム。
すぐ隣には名鉄の列車が発着しています。いよいよJR飯田線の旅が始まります。
豊橋駅を出ると鉄橋で豊川を渡り、名鉄の線路を分かれて住宅街のなかを走っていきます。
10分ほど走るとJR特急ワイドビュー伊那路号は豊川駅に停車。豊川駅は、日本三大稲荷のひとつ豊川稲荷の最寄り駅です。
△東三河地区の水がめである一級河川豊川を鉄橋で渡る
豊川駅を出ると線路は単線になり、前方から山並みが近づいてきます。のんびりした田畑や民家が連なる豊橋平野を走り、重層な三角屋根が印象的な新城駅に停車。
新城駅を出ると次第に人家はまばらになり、田んぼと山々がつくりだす緑が車窓を占めるようになっていきます。
山林のなかに入り宇連川がつくりだす渓谷が展開しはじめると本長篠駅に停車。蝉が時雨れ、入道雲が狭い空に浮かんでいました。
△JR飯田線の旅は、車窓にあふれる緑が特徴
本長篠駅を出て東栄駅を通過するとJR特急ワイドビュー伊那路号は愛知県から静岡県に入ります。
最高時速85kmでゆっくりと山間のカーブを縫っていきながら素朴なまちなみが広がってくると湯谷温泉駅に停車。湯客が何人か降りていきました。
湯谷温泉は1300年の歴史がある温泉で日本100名湯のひとつにも数えられています。
泉質は塩化物泉で皮膚病、関節痛、リウマチなどに効き目があるとされます。
湯谷温泉の温泉街は湯谷温泉駅でてすぐの宇連川がつくりだす景勝地 鳳来峡に沿って広がり、鄙びた温泉宿が湯けむりをあげています。
△清流宇連川の流れが右車窓に展開。川底が板を敷いたようなさまから板敷川との別称もある。
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湯谷温泉駅を出るとJR特急ワイドビュー伊那路号の車窓には、檜の木立が連なり、2.5kmほど走ると右車窓には宇連川の渓流に設けられた川遊びスポットの湯谷園地が広がります。
バーベキュー、キャンプ、(夏季限定の)ヤナ釣りなどを楽しめるスポットで人々で賑わっています。湯谷園地の最寄り駅は三河槇原駅で徒歩約10分(※三河槇原駅は特急列車は停車しません)。
JR特急ワイドビュー伊那路号でのJR飯田線の旅。列車はちいさな駅舎をどんどん通過していきます。左車窓に沿う天竜川の流れに沿って集落が増えてきます。トンネルに入り出たところで中部天竜駅に停車。
中部天竜駅を出ると天竜川を渡って左手に水力発電日本一を誇る佐久間発電所が見えます。JR特急伊那路号は秋葉街道と並行するようにエメラルドグリーン色の水窪川がつくりだす谷に沿って走っていきます。
断崖に家々がはりつき瓦屋根の古い民家が立ち並ぶ向市場駅を通過し、左車窓の河岸に水窪の集落と吊り橋のある景観が広がったところで水窪(みさくぼ)駅に停車。
△吊り橋の向こうに広がる水窪のまちなみ
水窪駅を出るとまちを見下ろしながら、JR特急伊那路号は再び長いトンネルへ。トンネルをでて左車窓に天竜川の流れが見えると大嵐駅に停車。
天竜川は長野県の諏訪湖を源にして木曽山脈と赤石山脈の間を流れる総延長213kmの河川。
大嵐駅を出ると、深い渓谷渓流を渡りトンネルに入って出たらまたトンネル。線路はカーブを描きながら、ひたすら山の中を走っていきます。
鉄橋でエメラルドグリーンの水をたたえた渓流を渡り、またトンネル・・。JR特急伊那路号によるJR飯田線の旅。車窓はいよいよ秘境のムードが漂ってきます。
△JR飯田線は幾多のトンネルが山々を貫いている
トンネルを出たところで秘境駅として有名な小和田駅を通過。最寄りの集落まで徒歩1時間、定期利用者0人という誰もいない古びた木造の駅舎が見えます。
ちなみに小和田駅は愛知県、静岡県、長野県の3県の県境に位置する駅でもあります。
△秘境駅として全国的に有名な小和田駅
左車窓には天竜川の渓流が沿い特急ワイドビュー伊那路号は長野県に入りこちらも秘境駅として知れる中井侍駅を通過。
伊那小沢駅、鶯巣駅と小さな駅舎を過ぎて集落があらわれると平岡駅に停車します。
△JR飯田線の旅は自然とふれる旅。山間をいくJR特急ワイドビュー伊那路号
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・・JR飯田線平岡駅が併設されている温泉旅館。飯田線の旅での秘境駅めぐりや天龍村観光の拠点施設としても最適!
3階が宿泊施設、4階が温泉「龍泉の湯」になっています(楽天トラベル)。
平岡駅をでてトンネルをくぐると、JR特急ワイドビュー伊那路号の左車窓には天竜川の流れがつくりだす平岡ダム湖の景色が広がります。
その壮大なスケールと吊り橋の素朴さに思わず目が奪われます。
△平岡駅を出て左車窓に展開する、平岡ダム湖の景観。飯田線の旅のハイライト
高台から天竜川の流れを望める為栗(してぐり)駅を通過していくと天竜川沿いにまちが連なりJR特急伊那路号は温田(ぬくた)駅に停車。
全長282mの斜張橋 南宮大橋が印象的です。
△スタイリッシュな形状が印象的な南雲大橋
温田駅をでると、JR特急ワイドビュー伊那路号は再び山のなかへ。トンネルに入っては出てを繰り返します。
秘境駅としてこちらも有名な田本駅を通過し、唐笠駅を過ぎると長野県飯田市に入ります。
飯田線の旅には、秘境駅が多いのも特徴。開けたまちなみが広がってくると天竜峡駅に停車。
天竜峡駅から徒歩1分ほどにかかる姑射橋から天竜川の下流に架かる吊り橋「つつじ橋」付近まで「天竜峡公園」が広がっています。
遊歩道が整備されており渓谷美を観ながらの散策を楽しむことができます。
また、天竜峡駅から徒歩3分ほどにある天竜峡温泉港からは、1日6便(冬季は2便)天竜ライン下りの船が運行しており約40分の船旅を楽しむことも
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天竜峡駅からはJR特急ワイドビュー伊那路の車窓には高い山並みを背景に、天竜川の河岸に広がる開放的な平地が広がります。
田んぼが点在する民家の間をひた走り、右手に飯田市のまちなみと南アルプスの山並みが見えると、JR特急ワイドビュー伊那路号による飯田線の旅もいよいよ終わり。
終点の飯田駅に到着します。
△天竜峡駅付近の車窓。天竜峡の河岸に沿って人家が連なる
JR特急ワイドビュー伊那路号による飯田線の旅の終着、飯田は飯田藩の城下町として発展したまちで、人口約10万人を誇る南信州の中心都市。
特産物はリンゴでまちにはリンゴ並木が連なるほか、飯田駅の駅舎はリンゴをイメージした赤屋根のつくりになっています。
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<JR特急ワイドビュー伊那路号 DATA>
時刻表:豊橋駅の列車時刻表ははこちら
停車駅:豊橋駅、豊川駅、新城駅、本長篠駅、湯谷温泉駅、中部天竜駅、水窪駅、平岡駅、温田駅、天竜峡駅、飯田駅
JR特急列車に乗車する場合、みどりの窓口などで事前に座席指定券を予約しておくと便利。