△中津〜別府〜大分を結ぶJR日豊本線の普通列車
小倉から大分や延岡を経由し鹿児島へと九州の東海岸を延びる長大路線であるJR日豊本線。
直通する列車はなく、普通列車で移動する場合、何度も列車を乗り換えるということになります。JR日豊本線のうち、大分県のJR中津駅からJR大分駅まで普通列車に乗車してみました。
(JR日豊本線:JR中津駅〜JR大分駅:乗車記)
大分県北西部に位置するJR中津駅を後にした大分行の普通列車は、城下町中津のまちなみを眼下に見下ろしながら、高架を下りていきます。
田んぼと住宅が混在するまちなみを走りJR東中津駅。
△高架駅であるJR中津駅に停車するJR日豊本線大分行の普通列車
815電車は窓が大きく、ワイドな車窓にまちなみと緑がダイナミックに流れていきます。シートはしっかりしておりなかなか居心地も良さげ。
右車窓には田んぼの向こうに、耶馬溪が座る山々や八面山や稲積山などが連なります。木造駅舎のJR今津駅からも、JR日豊本線の大分行普通列車はなおも広大な田んぼのなかを走っていきます。
白ペンキで塗られた木造のJR天津駅、JR豊前善光寺駅と停車。さらに広大な田んぼのなかをゆきJR柳ヶ浦駅、駅館川を渡って瓦屋根の構えるJR豊前長洲駅。
JR日豊本線の普通列車は、国東半島の緑のなかに入っていきます。広大な豆畑を抜けていくと、特急列車も停車するJR宇佐駅に停車。
その駅舎の柱は鳥居のような朱色で独特の雰囲気が漂っています。それは、JR宇佐駅は宇佐神宮の最寄り駅であることにちなんでいます。
宇佐神宮は全国4万社近くあるとされる八幡社の総本宮。鎮守の森として親しまれ、神亀2年創立と伝わる日本神話の時代からの歴史を有しています。
△宇佐神宮を想起させるJR日豊本線のJR宇佐駅のホーム
宇佐といえばもうひとつ特徴的なことがあります。それはJR宇佐駅を出て左手の山上「USA」という文字があること。
「USA?アメリカ?」と一瞬驚いてしまいますが、宇佐をローマ字で書いたらUSA なのです。宇佐はその表記の通り、実際、国際交流も盛んなまちです。
JR宇佐駅を後にすると、こんもりした山並みが近づいてきます。華岳や大村山などの山と山に囲まれたちいさな集落と田んぼのなかを列車は走りJR西屋敷駅に停車。
どんどん山深くなっていきます。長いトンネルをくぐり立石駅。立石駅は、平安時代に宇佐神宮大宮司の氏寺として開かれた富貴寺の最寄り駅。約10kmの道のりがあります。
△山並みの間に連なる田畑も車窓風景の魅力
田んぼを抜け、再びトンネル。人家がまばらになりやがて途絶えます。渓谷を鉄橋でわたり、トンネルに入ったり出たりを繰り返します。
トンネルから出て八坂川をわたり、大分空港道路の高架をくぐると、JR杵築駅にJR日豊本線の普通列車は停車します。
杵築は大分県北東部に位置する人口3万人ほどのまち。江戸時代に杵築藩3万2000石の城下町として発展しました。
農林水産業が盛んで、特産物はハウスみかん、デコポン、きつき茶などです。
△815系電車は窓が大きく切り取られロングシートであるのが特徴
JR杵築駅をでるとJR日豊本線の大分行普通列車は勾配をあげていき 古いまちなみを眼下に映しながら川を渡ってJR大神駅。
JR大神駅では特急ソニック号の通過待ちが行われました。
豊かな田んぼと山々のなかを走り、JR日出駅、JR暘谷駅と停車。JR暘谷駅をでると、左車窓には広大な海が広がり始めました。
海岸線をしばらく走り、車道を隔てて海のすぐ近くにあるJR豊後豊岡駅に停車。別府湾ロイヤルホテルが左に過ぎていき、温泉リゾートムードが高まってきます。
△別府湾が左車窓に広がる
列車は緩やかなカーブを描きながら、海岸線を走り、次第にその向こうに別府のまちが霞んで見えてきます。
関の江海水浴場を左に過ぎ、トンネルをくぐって、JR亀川駅、JR別府大学駅と停車。高架に上がっていき眼下には観光ホテルの数々が連なってきます。
左手に別府タワーが見え、JR日豊本線の普通列車はJR別府駅に到着。どっと乗客が降りていきました。
JR別府駅は日本一の湯量を誇る別府温泉郷の最寄り駅。
別府温泉郷は、別府温泉、鉄輪温泉、明礬温泉ほか8つの温泉郷(別府八湯)から成り、それぞれ湯の泉質も異なっています。
また、砂湯、蒸し湯など、その温泉の楽しみ方もさまざま。いろいろな楽しみ方をできる温泉です。
なお、共同湯は100カ所以上あり100円程度で楽しめるとあって、日帰りでも湯巡りを楽しむことが十分可能。
熱湯や噴気が噴出する地獄巡りや、サファリパークや水族館など観光的な要素も満載の温泉地です。

△湯煙が立つ別府温泉鉄輪地区の風景(写真提供:ツーリズムおおいた)
(別府温泉の宿泊情報)
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JR別府駅を出ると、JR日豊本線大分行の普通列車はなおも海岸線を走っていき、程なくして瓦屋屋根木造のJR東別府駅。
左車窓は海。水族館うみたまごや田浦ビーチを、右に猿で有名な高崎山を過ぎ、小倉街道と並行して走っていきます。
岬の向こうに大分市内の工場が見えてきます。瓦屋根の西大分駅をでると、高架をあがっていき、JR日豊本線の普通列車は、JR大分駅のホームに滑り込みます。
△別府湾の向こうに大分市内のまちなみと工場群が見えてくる
JR大分駅は、人口約47万人を擁する大分市の中心に位置する駅です。特急ソニック、特急ゆふいんの森、九州横断特急、特急あそ、特急にちりんシーガイアほか、さまざまなJR九州の特急列車が発着し、それぞれの方面に出発していきます。
なお、JR大分駅といえば、2014年九州駅弁グランプリにおいて大分駅の駅弁「山海三昧」が優勝したことも話題になりました。駅弁「山海三昧(さんかいざんまい)」は別府湾で水揚げされた魚介類や由布院牛を使った寿司が盛り込まれた彩りよい駅弁。
改札口を出たところにある土産屋などで販売されています。一度ご賞味あれ。日豊本線の列車旅はまだまだつづきます。
(列車の時刻表)日豊本線の列車時刻表はこちら
(JR日豊本線(JR中津駅〜JR大分駅間)の全駅)
中津駅、東中津駅、今津駅、天津駅、豊前善光寺駅、柳ヶ浦駅、豊前長洲駅、宇佐駅、西屋敷駅、立石駅、中山香駅、杵築駅、大神駅、日出駅、暘谷駅、豊後豊岡駅、亀川駅、別府大学駅、別府駅、東別府駅、西大分駅、大分駅